<透析食シリーズ> 11月「カリウム~冬の野菜に要注意~」


くまクリニックでは、毎月集団栄養指導を行っています。

【実施日】2020年11月16・17日

テーマ:カリウム
~冬の野菜に要注意~




11月の透析食講座は「カリウム」についてお話をさせて頂きました。


カリウムは体液の浸透圧や血圧を調整する重要な栄養素です。酸・塩基平衡の維持、神経や筋肉の興奮伝導の役割も担うため、細胞内に体内の総カリウム量の約98%がある一方で、約2%にあたる細胞外液の血清カリウム濃度を管理目標値の3.5以上5.0mEq/L未満に保つことが非常に重要です。
健康な成人では食事中のカリウム量と同じ量が尿と便によって体外へ出るため、納出バランスがとれています。ところが、透析患者様は腎臓から尿によるカリウムの排泄ができません。


血清カリウム値が高くなると手足・唇のしびれ、四肢の脱力感、不整脈、心停止を起こす可能性があります。このような症状にならないためにもカリウムの管理をきちんと行う必要があります。

なので今回は食材に含まれるカリウム含有量について再確認していただきました。



 

 

≪展示食≫



●ご飯 ●魚の磯部揚げ

●白和え●筑前煮 


★魚の磯部揚げ★


<材料>(2人分)
・まだい        2切れ
・酒(下処理用)  小さじ2/3
・てんぷら粉      16g
・卵         1/5個
・水          20g
・食塩         0.6g
・青のり        0.2g
・油          12g
・濃口醤油      大さじ1
・ブロッコリー     20g
・マヨネーズ  小さじ2と1/2


<作り方>
① さばに酒をかけ臭みをとる。臭みがとれたらキッチンペーパーで水気をしっかり拭き取る。
② Aを混ぜ合わせたら①を通し、揚げていく。
③ ブロッコリーは切って湯でこぼししておく。
④ 皿に②と③を盛り、魚に醤油、ブロッコリーにマヨネーズをかけて出来上がり。


【1人分の栄養価】


エネルギー:325kcal
たんぱく質:17.1g
カリウム :380mg
リン:199mg
食塩 :0.9g
水分:64.7g












 

★白和え★


<材料>(2人分)
・木綿豆腐        80g
・人参           6g
・ほうれん草       40g
・薄口醤油      小さじ1
・酒        小さじ1弱
・砂糖        小さじ2
・いりごま         4g


<作り方>
① 木綿豆腐はキッチンペーパーでくるみ、レンジで温めて水気を切る。
② 人参は千切り、ほうれん草は3㎝幅に切り、それぞれ茹でこぼしする。
③ ①②をボウルに入れ薄口醤油、酒、砂糖、いりごまを加え和える。
④ ③を皿に盛る。



【1人分の栄養価】


エネルギー:63kcal
たんぱく質:3.7g
カリウム :179mg
リン:69mg
食塩:0.9g
水分 :59.4g












 

★筑前煮★


<材料>(2人分)
・鶏もも肉        30g
・干し椎茸         6g
・れんこん        30g
・里芋          40g
・ごぼう         20g
・油         小さじ1
・濃口醤油      小さじ1
・酒        小さじ1弱
・みりん      小さじ2/3
・砂糖       小さじ1強
・さやいんげん       6g


<作り方>
① 鶏肉は一口大にし、さっと茹でこぼす。
② 干し椎茸は水で戻し、4等分に切る。
③ れんこんとごぼうは小さく乱切りに切り、それぞれ酢水につけた後、茹でこぼして灰汁を抜く。
④ 里芋は皮をむき4等分から6等分に切ったら塩を振りぬめりをとる。ぬめりをとったら水で洗い流し、下茹でする。
⑤ さやいんげんは斜め切りにし、茹でこぼす。
⑥ 鍋に油をしき①を炒めたら②③④を加え軽く炒め、椎茸の戻し汁(50g)と調味料を加え蓋をして落し蓋をして煮る。
⑦ 水分が少なくなってきたら火を止め、少し冷ます。(少し時間を置くことで、味がしみ込みます。)
⑧ ⑦を皿に盛り、上に⑤をのせ出来上がり。



【1人分の栄養価】


エネルギー:98kcal
たんぱく質:3.7g
カリウム :212mg
リン:63mg
食塩:0.4g
水分 :86.8g




 






<1食の合計>


エネルギー:738kcal
たんぱく質:28.3g
カリウム :815mg
リン :382mg
食塩 :1.8g
水分 :300.9g


 
  


筑前煮は里芋やごぼうなどカリウムの多い食材が入った煮物料理です。
調理する時はなるべく小さめに切ってカリウムが抜ける表面積を増やし、必ず下茹でしましょう。
灰汁やぬめりが落ちると同時にカリウムも抜け一石二鳥です。
また下茹ですることで火入れの時間も短縮でき、煮崩れもしにくくなります。
カリウムの多い一品ですが、ちょっとした工夫でカリウムを減らすことができます。

皆さんぜひ一度、献立を参考に作ってみてください★

  管理栄養士 川井康子・島松千智


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